「中国人人材ならば、観光客の買い物パターンや中国人相手の売り込み方を知っています。流暢な日本語を話す上に、厳しい雇用条件も厭わないので、日本の企業にとっては大変都合がいいのです」

 日本政府観光局(JNTO)が発表した2017年の国籍別訪日外国人客は、中国が1位で約735万人であり、その旅行消費は約1.7兆円を超えた。現在、インバウンドのリテールの最前線では、中国語・日本語ともに流暢で、低コストで仕事をこなす“競争力ある中国人”が大活躍なのだ。

どんどん送り込まれる中国人材

 在日の中国人や中国人留学生の採用でもまだ足りないのか、最近は「日本で働きませんか」と中国語の求職サイトで呼びかける企業もある。中国から人材を直接引っ張ってくる算段だ。

 また、専門のエージェントが現地人材と日本企業の間を橋渡しをするケースもある。日本側へ人材を送り出す仕事に携わっていた日本人女性のCさんは、次のように語る。

「アジアの各地には、アジア人材を日本企業に送り込むエージェントがあります。中国やベトナムでは日本語人材を育てる教育ビジネスが盛んですが、その先の“就職サポート”も行っているんです。『日本語2級の人材は何人必要ですか』などと、積極的に日本企業に売り込んでいるのです」

「人手不足の日本企業」と「日本で働きたい中国人材」、見た目はあたかも理想的なマッチングかのようだ。だが、これに依存しすぎるのは危険だ。

接客の質を上げるには

東京の繁華街にあるドラッグストアでは、中国語のPOPはもはや珍しくもない
繁華街にあるドラッグストアでは、中国語のPOPはもはや珍しくもない

 銀座に出店する大手ドラッグストアは、売り場の客も従業員もほとんどが中国人だ。店内のポップも商品説明も中国語化された店内で、従業員は客のいない暇な時間をスマホでつぶし、客からの質問にはごく簡単に手短に答える。

 東京に長年在住する中国人女性Dさんが、この店で買い物をしたときのことだ。従業員と客のやりとりにわが耳を疑ったという。

「中国人従業員が中国人観光客に薬の説明をしているのが聞こえてきたのですが、その情報はまったく間違ったものでした。他人の買い物とはいえ、思わず『それは違う』と口を挟んでしまいました」

 Dさんはこう続ける。