あの企業の退職金は幾らなのか――。近年「ポイント制」などの普及で分かりづらくなっているが、給与と並んで退職金額は企業を評価する物差しの一つになる。そこで週刊ダイヤモンドは有名企業の退職金額を徹底調査。学歴、退職時の役職、退職時期なども併せて禁断の実額を公表しよう。*本記事は『週刊ダイヤモンド』2016年10月22日号『知りたくなかった禁断の数字 退職金・年金』から抜粋したものです。

製造業、総合商社、繊維
大手は企業年金が充実、格差が大きい自動車業界

 製造業や総合商社を中心に企業年金を充実させている企業が目立つ。世界で戦うグローバルプレーヤーのホンダは、退職金でも国内勢の中で頭一つ抜ける。競争が激しい世界だけあって業界内格差が大きい。

 住友商事もその一例だが、「商社マンは早死にすることが多いため、一時金を多く支給するより、後払いの企業年金の方が企業にとっては得だから充実させているだけ」(商社OB)との笑えないブラックジョークも聞こえてきた。

 日立製作所はなんと企業年金が第1から第3年金まである。第3年金はなくなるそうだが、「第1年金は終身支給の上、本人が早く死んでも20年間は家族に支給され続ける」(OB)という親切設計だ。

 製造業の退職金カーブは次ページのグラフの通り、長く勤続するほどお得な「S字カーブ」を描くが、米国会計基準で「隠れ債務ではないか」と問題視されたため、海外展開する大手ほど直線化してきているという。