さて、筆者は市場の予想屋ではなく、景気の予想屋だから、その立場で考えてみよう。「不況期の株高」という言葉があるくらいだから、不況期に株価が上がることは珍しくはなく、それには理由がある。

「投資家たちは景気の予想をして、景気が回復しそうだと思ったら株を買うから、景気より先に株価が上がる」ということはあり得る。一般の投資家が「不景気だから株は買えない」と悲観的になっているときに、景気を正しく予想した投資家が買い始めるというわけだ。

 余談だが、そうだとすると、有能な景気の予想屋は株で儲けるチャンスが多いはずなのだが、あまり儲かったという話は耳にしない。

「不況期には金融が緩和されている一方で、設備投資の需要がないので、世の中に出回った資金が株式投資に回らざるを得ない」という人もいる。「金融相場」と呼ばれる現象だが、そのあたりは因果関係が複雑なので、本稿での詳述は控えておく。

 以下では、景気と企業収益について考えてみる。

景気回復初期は増益率が高い

 景気が下向きから上向きに方向転換した直後、景気の水準はまだ低いままだから、人々は景気が回復に転じたことに気づきにくい。しかし、そうした際には、企業の売り上げがわずかに増えただけで大幅な増益になりがちだ。

 理由の一つは、「社員も設備も遊んでいるので、生産が増えてもコストは材料費しか増えない」からだ。好況期に生産が増えると、社員の残業代がかかったりするが、その心配はない。

 もう一つ、不況期には前年の利益が小さいので、金額的には小幅な増益でも「増益率」は非常に大きくなる場合がある。

 人々が不況慣れして決算発表に期待していないときに、サプライズな大幅増益が発表されれば株価は上がる。これが、「強気相場が悲観の中に生まれる」理由である。