二番目の例は、平成以前のリクルート社の話である。その昔、課長予備軍であるチームリーダーの内線電話の番号の末尾2桁が01と決まっていた。つまり、この文章の主語は隣の課の課長直前のチームリーダーである。そして、GIBとは、ゴールインボーナスといって、売り上げの目標達成率を競わせ、よい成績だったものに対して奨励金(インセンティブ)を出す制度である。Qは四半期。つまり、隣の課のチームリーダーは、今四半期の売上競争で目標達成率が全国1位になりそうだ、という意味なのである。

 こうした社内用語を自由に操り、使いこなせるようにならなければ、いつまでもよそ者扱いされる。半年たっても社内用語に通じていないようだと、本当にその会社になじむ気があるのかと疑われるだろう。外国に行けばその国の言葉を話さない人間はいつまでたっても観光客と思われるのと同じことである。

 業界内の特殊な言い回しなどは、業界紙2年分を徹底的に読み込めば、重要なことはすべてカバーできる。しかし、社内用語の場合は、業界紙を読んでもわからないことも多い。社内の資料をよく読み、なにより、実際に「現場」で話されている言葉を聞いてメモして徹底的に覚えることだ。

 こんな恐ろしい話もある。

 ある大手銀行からあるオーナー企業に転職した人がいた。マーケティングの調査報告で、社長に「××の市場が存在すると思われますので、我が社もぜひ参入すべきだと考えます」と進言した。

 これが社長の逆鱗に触れたのである。

 何が悪いのか、部外者にはさっぱりわからない(私もわからなかった)。ごく常識的な言葉遣いで、礼を欠く要素は皆無だ。ところが、この社長にとっては、「お前のような一社員の分際で、私に向かって『べき』などと、まるで指図するかのようでけしからん」ということだったらしい。

 その会社では、「××の市場を創出できると確信できたので、ぜひやらせてください」という「べき」だったのだという。

 これは極端な例だが、こうしたことは往々にしてある。

 オーナー企業などの場合は、【その2】で触れたメンターの人に、オーナーの気質やNGワードなどもよく確認しておくとよいだろう。