【新しい職場になじむ方法その5】
小さな成果を着実に上げていく

 転職先では、最初から大きな成果を出そうとしてはいけない。まずは小さく、人並みにできればいい。周囲は、最初はあなたのことをよそ者だと思っている。自分たちの会社にとって、有用な人間なのか、自分たちの得になる人間なのかを見極めようとしているだろう。

 だから、むげにはしないまでも、惜しみない協力などはしてくれないし、まだ信用がないから話を真面目に聞かず、動いてくれないことだってある。そういう逆風を計算に入れたうえで、あまり欲張らず、小さく着実な成果を上げていくことから信頼を獲得することを考えてほしい。

 おそらく、優秀な人であればあるほど、人事部などから「現場に革新を起こしてほしい」「大きな成果を期待している」と言われるはずだ。しかし、現場のほうはそうではない。基本的には、いま欠けている部分を「補ってほしい」のである。まずは「補充的観点」があり、それにプラスアルファで、「違いを創り出す観点」があるということだ。

 もちろん、両方あるのが望ましい。だが、ビジネスの現場では、順番は常に前者、そして後者なのである。まずは現場で求められている足りない部分を補強する役割に徹し、徐々に自分の持ち味を出していくことができればよいだろう。

 さて、いろいろ述べてきたが、新しい職場になじむのは、もちろん転職者個人の努力が必要ではあるものの、受け入れ側も、助けるという気持ちを持ってほしいと思う。どうも多くの職場では、お手並み拝見とばかり、転職者を遠巻きに見ている気がする。

 これは倫理的に、とか隣人愛の観点で言っているのではない。計算づくで考えても、その人が早く職場になじんで、その人の持つ実力を存分に発揮してくれたほうが、あなただって助かるからだ。チームの目標を達成するためには、1日も早く戦力になってもらうほうがいいに決まっている。

 どうかこれを読んでいる人のなかに、転職者を受け入れる職場の人がいたら、転職者の「名前を呼ぶ」ところから始めて、温かく迎えてあげてほしい。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山進、構成/ライター 奥田由意)