世界の金融市場が不安定な動きを続ける中、資産運用の在り方をどのように考えればよいのか。スイス・ジュネーブのプライベートバンクを母体とし、「顧客の資産保全」を標榜するピクテ投信投資顧問の萩野琢英社長に話を聞いた。

萩野琢英(ピクテ投信投資顧問社長)Photo by Kazutoshi Sumitomo

──ピクテが掲げる「顧客の資産保全」の考え方とは。

 (母体の)ピクテは1805年に創立後、欧州の王侯貴族など富裕層の資産を何代にもわたり連綿と保全、運用する業務を担ってきました。そのニーズに沿う中で長期目線に基づき、低リスクで「(物価などに)負けない運用」を重視する文化が育まれてきました。

 大幅な下落が生じると値を戻すのが大変です。よって運用戦略上、(可能性は低いが起きると影響が甚大な)テールリスクを抑えることを重視しています。グローバルに分散投資した上で、大幅な値下がりのリスクをはらむ流動性の低い資産を敏感に避けています。

 その意味で、流動性に難があるハイイールド(低格付け)債は組み込んでいません。投資家が一斉に解約を求めるような局面になると、売ろうとしても売れず大きな損失を被りかねないからです。

──足元の投資環境の見方は。

 国際金融市場は5~12年ほどのサイクルで動くと考えていますが、今は8合目程度でピーク間近とみています。世界的に金利が上がり、インフレ気味な一方、実体経済は基本的に堅調です。こうした中で株と債券に分散投資する単純なバランス型のポートフォリオを組む手法は通用しにくくなっています。