大阪府警富田林署から勾留中の男が逃走した事件は、発生から半月が経過した。大阪府警は男を全国に指名手配し、3000人態勢で行方を追う。だが似た男の目撃情報などは寄せられるものの、依然として行方は分かっておらず、既に大阪府内にいない可能性も指摘される。この間、管理態勢の不備のほか、初動捜査や近隣住民への周知の遅れなど、杜撰(ずさん)な対応が相次いで発覚。あまりの失態続きに、市民はあきれ果てている。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
接見室からまんまと逃走
男は加重逃走容疑で指名手配されている住所不定、無職樋田淳也容疑者(30)。大阪府警は5月25日、盗んだオートバイを保管していたとして盗品等保管容疑で現行犯逮捕。6月15日には、20代女性のマンションに侵入し、ナイフを突き付けて乱暴したとして強制性交容疑などで再逮捕した。
7月12日は、いずれも女性を刃物のような物で切りつけて所持品を奪おうとした、強盗致傷やひったくりの窃盗容疑で3回目の逮捕。8月8日には住宅に侵入して20代女性を乱暴しようとした強制性交未遂容疑などで計4回、逮捕されていた。樋田容疑者は強制性交罪と強盗致傷罪、3件の窃盗罪で既に起訴されている。
逃走したのは8月12日午後8時~8時半ごろだ。午後7時半から8時まで弁護士と接見後、弁護士が接見室から退室してから容疑者と面会人を隔てるアクリル板を蹴破って逃げたとみられる。午後8時半ごろ、樋田容疑者に似た男が富田林署付近の防犯カメラに写っていた。
一連の逃走劇は失態のオンパレードなのだが、そもそも、なぜ樋田容疑者がまんまと逃げおおせたのか。
まずはお粗末な原因から追っていきたい。