一流ビジネスパーソンや企業のトップが研修に通うほど、リーダーシップや説得力をもたらすのに「声」は重要視されています。性格や習慣をすぐに変えることはできませんが、声はすぐに変えられます。そして、声の改善で仕事の成果が上がることが科学的に実証されているのです!
250社超の研修実績、3万人が受けた声のビジネス研修を読んで学べるボイスレッスン『「話し方」に自信がもてる 1分間声トレ』より、「1分間声トレ」を動画付きで紹介します。

50音で一番大事な「お」を磨く!

 一日は「おはようございます」のあいさつで始まります。

 また、取引先からの電話には「お世話になっております」、お昼になれば「こんにちは」、食事をしたら「ごちそうさま」、退社する際には「お疲れさまでした」、そして寝る前は「おやすみなさい」。

 このように、あいさつの多くが「お」を母音とする音で始まっています。そしてこの「お」は、母音のなかでも特にこもりがちな音です。

 説明するまでもないことですが、あいさつはコミュニケーションの入り口であり、とても大切です。電話応対はもちろん、ビジネスシーン全般において、まずはあいさつがあり、それから会話に進みます。

 また、あいさつをする際、多くの人は無意識のうちに笑顔をつくります。これは相手の警戒心を解くなどの効果があります。元気よくあいさつするということは、こちらの心がオープンであり、コミュニケーションをとる用意があるということを相手に示す合図といえるのです。

 特に、声だけでコミュニケーションをとる電話応対のシーンでは、あいさつはより重要です。

 しかし、そのあいさつの言葉が不明瞭であったり、声が小さかったりすると、逆効果です。「この人はコミュニケーションをとる気があるのか?」と、相手に警戒心を抱かせてしまいます。

 その重要なポイントが、1文字目の「お」なのです。最初の「お」の音を強調することで、あいさつの言葉を明るく、そしてパワフルに発声できます。

 特に、私が大切にしているのが「おはようございます」です。

 言ったほうも言われたほうも、前向きに元気になれる魔法の言葉です。

 ですからセミナーなどでは、私と受講者の間で必ず元気なあいさつを交わすようにしています。

私  「はようございます!」
受講者「おは……(ボソボソ)」
私  「聞こえませんでしたよ。はようございます!!」
受講者「はようござい……」
私  「まだ元気がないですね。もう一度、はようございます!!!」
受講者「はようございます」

 実際にはこれを6~7回くらい繰り返します。しつこいですよね(笑)。でも最終的にはみなさん根負けして、苦笑いしながらも元気な声を出してくれます。

 私のセミナーを受けてくれるのは、自ら進んで来る人ばかりではありません。

 会社の研修などで、嫌々ながら来る人もなかにはいます。そういった人たちは当然テンションが低く、話を聞く心構えもできていません。

 しかし、そんな人たちもこの「あいさつ」を繰り返すことで、無理やりにでも元気な声が出て、ついでに笑顔になります。

 その結果、心がオープンになり、聞く姿勢ができるのです。

 みなさんも、あいさつの「お」に注意して元気な声を出すようにしましょう。

1分間声トレを実践しよう!
声を出しやすくする簡単ストレッチ

1.〈10秒×3回トレ〉
朝イチのプレゼンでも困らない「消防車サイレン」

(1)消防車のサイレンの音のように「う」を「あ」に置き換えて、
(2)「あ――――――――――――――」。
 (低い声から始めて高い声まで5秒)
(3)「あ――――――――――――――」。
 (高い声からもとの低い声に戻すまで5秒)

2.〈15秒×2回トレ〉
毎朝の「あーあっ」が美声をつくる

(1)胸の前で両手のひらを合わせて、左右の手をお互いに少し押す。
(2)「あ―あっ、あ―あっ、あ―あっ、あ―あっ、あ―あっ」と同じ音で5秒かけて声を出す。
(3)「あ―あっ」×5回を1セットとして、普通の声、低い声、高い声でそれぞれ1セット×2回ずつ行う。