先日、「男性限定」のヨガ教室を開いたところ、すぐに予約が埋まり、ヨガの注目度の高まりを感じた。日本では、ヨガといえば女性というイメージだったが、そのムーヴメントは男性にも広がり始めている。
今回は、ヨガ教室に来てくださった男性の声を交えながら、「なぜいま、男にヨガを勧めるのか」を改めて語っていきたいと思う。(取材・構成:竹村俊介、撮影:宇佐見利明)
ヨガとはストレスフル社会を生き抜くための「最強の武器」だ
「MAROON5」のリードボーカル、アダム・レヴィーンは、自宅やレコーディング・スタジオ、ツアー先でヨガを行っているといいます。
彼はこれまで、ジムでガンガン肉体を鍛えてきたそうですが、首がどんどん太くなるのを見て「むしろ身体に悪いのではないか」と思ったといいます。
そこで出会ったのがヨガでした。
「ヨガは、その人に元々備わっているものを材料に身体をつくり上げるんだ」と雑誌「GQ」のインタビューの中でレヴィーンは語っています。
ヨガをやるようになってから、メンタル面にも変化が出たというレヴィーン。コンサートで何千人の前に立つことは、自然に反する精神状態になりますが、ツアーのあいだにヨガを続けることで、フラットな状態に戻れるのだそうです。
「ショーの前に1時間、ヨガマットの上でルーティンをこなせば、リラックスした肉体でステージに出ていけるんだよ」。
ビジネスパーソンも大切な営業やプレゼンの場面などで、緊張して心が乱れる場面に遭遇するでしょう。そんなときは、ぜひヨガを試してみてください。
起業家や高額所得のビジネスパーソンもいま、こぞってヨガを始めています。
11月6日夜、私の運営するヨガスタジオで「男性限定」のヨガ教室を開きました。通常のヨガも男性は歓迎ですが、今回は男性限定です。
仕事終わりのビジネスパーソン、起業家、大学教授などが広尾のスタジオに集まりました。
テーマは「今求められる闘う男性のためのヨガ」。
なぜ、闘う男性にヨガが必要なのでしょうか? 今回、講師をお願いした佐藤ゴウ氏はこう語っています。
「このストレス社会は、今に始まったことではありません。過度なストレス状況下で私たち男性は戦い抜いてきました。
家族と会社の間に挟まれ、上司と部下の間に挟まれ、取引先と組織の間に挟まれ、狭い現実の中をなんとか生き抜いてきたわけですね。
ストレス発散のため、酒や夜遊びに繰り出す人も多いでしょう。しかし、それでは根本解決にはなりません。
ヨガはそんな男性たちに今こそ必要なメソッドなのです。
また、ビジネスで最大限力を発揮できるのは「リラックス」と「集中」がマックスで高まったとき。そのリラックスと集中を同時に身につけられるのがヨガなのです」。
この連載でも再三繰り返していますが、ヨガの効果は何も女性のものだけではありません。もちろん美容にもいいですが、私たち男性が本当に欲しいのは「明日への活力」と「常にエネルギッシュに突き進む自分」でしょう。そして「器の大きな自分自身」ではないでしょうか。
これらがヨガで手に入るとしたら、金曜の夜に行きつけの立ち飲み屋に足を運んでいる場合ではないのです。
真の成功は、健康という土台の上に成り立つものなのだからです。
男にヨガが必須スキルである3つの理由
男性限定ヨガには、起業家や外資系金融マン、大学教授などが集まりました。ヨガ未経験者もいましたが、経験者も多く、みなさんいい汗を流されていました。
そこで、「なぜ、ヨガをやってみようと思ったのか?」を聞いたところ、いくつかのポイントが浮かび上がってきました。
男性にヨガがいい理由は、主にこの3つです。
【1】メンタルが強くなる
IT企業でプログラミングをしている会社員は、これまでちょっとしたミスやトラブルで心が乱れ、常にイライラしていたといいます。しかし、ヨガを始めたことで、呼吸が乱れにくくなったのだそうです。
「ストレスがかかったときに、『あれ? 呼吸が浅くなってるな』って自分で気づけるようになったんです。自分を客観的に見られるようになったというか。イライラしたときは深呼吸を何回かやることで落ち着けるようになりました」。
【2】持久力がつく
ヨガは体力面にもいい影響があります。
「疲れにくくなった、というのは実感しますね。前は夕方になるとへろへろになってしまって、もう酒のんで帰りたい!ってなってたんですが、最近では夜まで集中力が長続きするようになりました。持久力がついた感じですね」。
筋トレが瞬発力をつけるものだとすると、ヨガは持久力です。どうも若いころよりも、スタミナがなくなった。夕方以降、集中して仕事ができなくなった、という人にヨガはぴったりでしょう。
【3】ケガをしにくい
もうひとつ、ヨガがいいのは、ケガをしにくいことです。
介護職の男性は「もともとマラソンをやっていたのですが、膝を痛めてしまい、続けることができなくなったんです。そこでヨガはケガをしにくいということで興味を持ちました」と語っていました。
マラソンや筋トレも、トレーナーなしで過度なものを急にやるとケガをする可能性が高まります。よって、静的ですが、身体を鍛え、整えることのできるヨガがベストなのです。
「ヨガが女性のもの」というのは日本だけ
アメリカのヨガ人口は2000万人以上で、15人に1人はヨガをやっている計算です。アメリカの場合は社会保険の問題もあり、国民の健康が国家の将来を左右するようなテーマなのです。
一方、日本のフィットネス人口は、ずっと変わらず3%です。ヨガに絞ればもっと少ないでしょう。
ヨガは歴史があり、効果も保証されている、素晴らしいエクササイズにもかかわらず、日本では女性にしか支持されていないのが現状です。
日本だと、たとえば会社勤めの人がジムやヨガスタジオに行ったりすると「あいつサボりやがって」というような風潮があります。でも、海外では全然そんなことはなく、ビジネスパーソンからNFLの選手までヨガをやっているのです。
アメリカ在住期間も長い、起業家の康井義貴さんもヨガの実践者です。なぜ、ヨガを始めたのかを聞いてみました。
「ひとつは体調管理ですね。ビジネスはいわばマラソンなので、今後何十年とやっていくために身体作りというのは必須だと思っています。
あとは精神衛生上、すごく良いんですよね。身体は疲れるんですが、アドレナリンが出るので頭もスッキリして、仕事の効率も上がるんです。心と身体はつながっていますからね。」
「僕はアメリカに長く住んでいたのですが、アメリカの経営者ってほとんどの人がランニングやトレーニング、ヨガなど何らかのワークアウトをしているんですよね。僕もヨガをやっていますが、日本だと『男なのにヨガやるんだ』となるじゃないですか(笑)。
世界のエリートのあいだでは、すでにヨガは必須のスキルです。
そして、ヨガは「本来のあなた」を取り戻す時間でもあります。
ぜひ、あなたの毎日に取り入れ自分を磨くことで、人生をより輝かせてほしいと思います。