大学病院勤務の過酷な実態
32時間連続勤務でも労基法は適用外

 勤務医には、大きく分けて5つの業務がある。

 病院に来る外来患者を診る「外来」、主治医として入院患者を診る「病棟」、内視鏡や心臓カテーテル検査といった「検査処置」、外来系の医師であれば「手術」、そして輪番で夜間の患者の容態急変や救急患者に対応する「当直」だ。主治医としての「病棟」業務の中には、勤務時間外であっても担当患者の容体急変時などに駆けつける「オンコール」対応も必要となる。

 そして、意外に知られていないのは、労働基準法が一般企業と同じようには適用されていないことである。長時間労働の上限は実質ないに等しい。例えば、オンコールや当直業務は実作業時間より待ち時間が多い「断続的な業務」であると解釈されて、労働時間の規制対象外となっているのだ。

 当直の場合、病院に泊まって当直業務をこなしたあと、当直明けもそのまま翌日の夜まで働き、場合によってはオペさえも担当することがある。「32時間連続勤務が常態化している病院も多い」と岡部さんは言う。

 株式会社メディウェルが2017年10月~11月にかけて1649人の医師に行ったアンケートでは、当直後も82.5%が通常勤務をし、32時間以上の連続勤務を行っていると回答している。また、2017年に「全国医師ユニオン」が勤務医に実施したアンケートでは、タイムカードなどで労働時間が管理されていると答えた大学病院の医師はわずか5.5 %だった。

 朝も早い。外来が始まるまえに「カンファレンス」といって、症例報告会などを行う。

 このように一般企業以上に長時間労働が当たり前の現場で、しかもそれが、労働基準法で適法とされているのである。

 加えて「応召義務」といい、「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」という法律がある(医師法19条)。70年前の1948年に成立した法である。

 このような長時間勤務を前提として、「成績優秀な女子より、男子で洗脳しやすい元気なバカのほうが役に立つ」などと言われたことのある女性医師も決して少なくない。