自由な言動がモチベーションや
パフォーマンスを向上させる

 私は20年来、能力開発プログラムを実施してきた。現在では年間4000人もの方々が参加してくださるが、参加者の傾向を見ると、自由に自己表現できるかどうかが、モチベーション向上と、ひいてはパフォーマンスの発揮度合いに大いに関係していることがわかる。だからこそ、高校野球という未来を担う青年たちの教育の場で、自己表現を制約することに大きな懸念を感じるのだ。

 私が提供しているプログラムは、モチベーションを向上させ、パフォーマンスを発揮させることを目的としている。一例だが、「自分自身の現在の気持ちの高まり度合いを、10(高い)から1(低い)のいずれかで見極める」という演習がある。

 簡単じゃないか、と思われるかもしれないが、これをすぐにできない人が少なからずいる。できない理由はさまざまだ。「セミナーか、仕事か、生活全般か、何に対する気持ちの高まり度合いかの範囲を指定してくれないとできない」と言う人もいれば、「例えば、10の定義、5の定義、1の定義を明確にしてくれないとできない」と訴える人もいる。

 こうした人々が異口同音に訴えていることの要諦は、「フレームが示されたり、定義が示されたりしないと行動できません」ということだ。

 しかし私はあえて、この演習では、何に対する気持ちの高まり度合いかというフレームを示さない。参加者がセミナーのことで頭がいっぱいか、仕事のことで頭がいっぱいか、はたまた家庭のことで頭がいっぱいかによって、気持ちの高まり度合いの対象は変わるだろう。フレームや定義といった「外から与えられるもの」ばかりを気にするのではなく、自分の内なる声に耳を傾けて、「自分は今、何に高い関心を持っているのか、そしてどの程度、その関心は高いだろうか」ということを把握することが、大切なことなのだ。

 相対評価するテストでもなんでもないので、10の定義、5の定義、1の定義などない。自分が10だと思ったら10をつければよいし、5だと思ったら5、1だと思ったら1をつければよい。

 こんな簡単なことができないのは、手取り足取り指導され、「ああしろ、こうしろ」「ああしてはいけない、こうしてはいけない」という制約が山ほどある中で学生時代を過ごし、さらに社会人生活を送ってきたツケではないだろうか。枠組みやルールにきちんと従う“いい子ちゃん”は御しやすい人種ではあるが、思考が硬直化しているから、変化し続けるビジネスの現場に対応して能力を発揮するのは難しい。

 自由な言動は、自由な発想を生み出す。そして、自由な発想はモチベーションを上げ、パフォーマンスを上げる。自由な言動をできる限り認めて、高校生のさらなる能力開発を実現していきたいものだ。