また、6月18日の大阪北部を震源とする地震において、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)で非常用発電機が一時的に使えず、停電が発生した。その後、同センターで確認を行ったところ、法令で定める保安検査を少なくとも5年以上実施していなかったことが判明したという。

 ちなみに大阪府内の防災関係者は、「吹田市では2017年8月23日の大規模停電の際にも、市内の病院で非常用発電機の不具合によるエレベーターの停止などが起きた」と明かす。いずれのケースでも、患者らに被害が及ぶ最悪のケースは避けられたが、「間一髪」の状況だったことは間違いない。

 こうした事態を受けて、厚生労働省は6月22日、各都道府県に対し、管内の病院について非常用電源の保安検査実施を指導するよう強く求める通知を出した。しかしこれまでの経緯を振り返れば、この通知一つで、状況が抜本的に改善されるとはにわかに信じ難い。

防災対策を徹底させている大阪府茨木市の「ほうせんか病院」防災対策を徹底させている大阪府茨木市の「ほうせんか病院」

「病院の経営者で、非常用電源の点検義務について細かく理解している人などほとんどいないんじゃないでしょうか。発電機が非常時に動かないかもしれないなんて、誰も想定していないはずです」

 こう語るのは、大阪府茨木市で「ほうせんか病院」を運営する医療法人成和会の樋口昌克副理事長だ。成和会は、グループの高齢者施設が自治体から災害時の「第2次避難場所」に指定されていることもあり、防災対策を徹底している。

「そうした中で、必然的に負荷運転試験にも対応することになりましたが、私だって専門家から話を聞くまでは知りませんでした。病院は、防災設備の点検を専門業者に丸投げするのが当たり前。国立循環器病研究センターの件は一定の注意喚起にはなったでしょうが、果たしてどれだけの病院が問題を認識できているのか疑問は残ります」(樋口氏)

 病院などの施設に災害への備えを徹底させるのは、一義的には消防の役割だ。ところが、今回の取材で話を聞いた施設オーナーや点検業者からは、「負荷運転をしていなくても、消防から改善を指導されたことはない」との声も多く聞かれた。