まず、米国への輸入関税が引き上げられ、トヨタは日本から米国へ70万台分の生産移管を検討する。米国で新工場を建設するとなると、設備投資は建設予定の米アラバマ工場の2倍分、約3000億円に上る。減価償却費の増加(表(A))は、売上原価を圧迫する。

 国内減産でリストラは不可避だ。この「合理化費用」に加えて、(関税を反映させた)米小売価格上昇の反動減を抑えるための「販売促進費」もかさみ、販売費および一般管理費も激増する(表(B))。

 また、様々な保護主義コストの増加は、将来の種まきとなる研究開発費の抑制につながってしまう。

 トヨタの損益への影響は甚大だ。24年3月期の保護主義シナリオでは、ドル箱の北米事業は赤字スレスレ、連結営業利益は1.4兆円(表(C))。自由貿易主義シナリオの2.8兆円から半分の利益が吹き飛ぶ。まさしく、米中貿易戦争は対岸の火事ではなく、母屋の火事なのだ。

(「週刊ダイヤモンド」副編集長 浅島亮子)