商品としてのゴーサインが出ず、少短業者としての登録もままならずに時間だけが過ぎていく日々の中で、本格的な事業開始に向けてP2Pの仕組みはひとまず断念せざるを得なかったという。

 AIによる保険料の算出と、スマホ完結型のサービスを中核にするかたちで、少短業者として晴れて登録できたのは、申請から実に1年3カ月もたった今年6月のことだった。

大手アプリと連携探る
募集体制の確立がカギに

 目下の課題は、契約者を着実に増やすための募集体制の確立だ。畑は現在、複数の大手企業と保険販売を委託する代理店契約に向けて交渉を進めているという。

 その際に肝となるのが、自社アプリの仕様となるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を開放すること。広告を出すのと違って、APIを開放すれば、大手企業のアプリ上で利用者が商品などを購入する際に、簡単なフリック操作で「ついでに加入」することができるようになるからだ。

 大手企業としても、自社アプリの商品購入などの画面に「保険に加入する」といった項目を新たに設けて、システム連携するだけで済む。販売代理店として営業人員を配置するような負担はなく、保険販売に応じて手数料も得られる。そのため、大手からの反応は上々といい、「早ければ年内にも連携を実現したい」と畑は意気込む。

 当面の目標は保有契約件数50万件。達成に向けて今後は、1日単位で加入でき、家電製品などの修理費用を補償する「1日モノ保険」など、少短としての機動力をフルに発揮して、新商品を矢継ぎ早に投入する計画だ。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)

【開発メモ】スマホ保険
 故障や破損によるスマートフォンの修理費用を補償する保険。保険料は機種などによって異なり、月額400~900円程度。保険期間は3カ月で自動更新する。スマホに標準搭載されているセンサーを利用して動きを感知し、人工知能(AI)が独自の「安全スコア」を算出。スコアが高ければ更新時の保険料の割引率が高くなる仕組みだ。