「三ザル」融資で急増した
「三為」不動産販売業者

「三ザル」と語られるスルガ銀行の不動産融資の実態は――。

「とにかくスルガ銀行はどこの不動産会社とも提携していた。提携先の選定がろくにされていない。知識も実績もなく、スルガ銀行がいなければ独立できなかったような三為(さんため)業者は多い」と、この役員は語る。

 三為業者とは、第三者のためにする契約を行う不動産販売業者の略称だ。

 売主から買主に不動産を売却する時に、利益を乗せて転売することで、定められた仲介手数料以上の利益を手にすることができる。

 投資用不動産販売会社が設立直後に苦労するのは、物件を購入する投資家を探す集客よりも、提携する金融機関の開拓と物件情報の仕入れだという。つてをたどりながら金融機関を開拓していき、物件情報をもたらす不動産会社との接点は交流会に頻繁に出席するなど、地道にやるのが王道だった。

 しかし、融資先の開拓に必死なスルガ銀行であれば、実績も知識もないままでも提携が可能だったという。はなから会社を大きくする気もなく、手っ取り早く稼げる手段として不動産会社を作り、高値で投資家に押し込みながら、潮時が来たら消えるわけだ。こうした不動産業者が増加した。

1~3週間のスピード審査で
「9割以上の案件が通った」

 すでに、こうした業者はスルガ問題の発覚による融資の厳格化以降に、一目散に逃げ出している。

「閉店ガラガラ、もう店じまいですよ」とうそぶくのは、渋谷区に本社を構える投資不動産販売会社の社長だ。

 少し前までは10人の社員を抱えていたが、昨年ごろから金融機関が融資を厳しくするようになり、売り上げが激減した。頼みの綱だったスルガ銀行も一連の問題発覚以降は、なしのつぶてとなった。

「買いたいお客さんはいて、物件があっても、融資が下りないのではどうしようもない」と、家賃収入などの物件管理担当のスタッフ1~2名を残して、年内にも会社は休眠状態にする予定だ。

 自身は海外に移住を検討しているという。まだ30代の若さだが、ここ数年で10億円以上の不動産を購入しており、現預金も十分にあるからだという。

 同社は投資用不動産を仕入れて、利益を上乗せして転売する典型的な三為業者だった。