新築ビルと既存ビルを比べると、新築ビルの空室率は3.56%(前月比▲0.21ポイントの低下)、既存ビルの空室率は2.56%(同+0.01ポイントと小幅に上昇)となっています。

 7月は、大規模ビル1棟が満室で竣工したため、新築ビルの空室率は前月の大幅低下に続いて低下しました。一方で小規模な成約は見られたものの、新築ビルや竣工予定ビルへの移転などに伴う大型空室の募集や解約の影響も出ていたことから、既存ビルの空室率は小幅に上昇しました。

 空室率の改善に伴い、賃料は緩やかながら上昇を続けています。7月の都心5区の平均賃料は、前月比+0.47%の坪当たり2万202円となり、55ヵ月連続の上昇となりました。7月は、新築ビルも既存ビルも共に平均賃料の上昇が見られました。

想定を上回る企業の根強い需要
地方の中核都市でもオフィス需要は旺盛

 実は東京のオフィスビルは、以前は今年から新しい大規模オフィスが大量に竣工するため、空室率が高まり、賃料も低下するのではないかと言われていました。

 それが実際は、空室率・賃料共に改善が続いています。これはオフィスの竣工が当初想定程出てきていないことに加え、オフィスの需要が強い点を挙げられます。

 その背景として、堅調な景気を受けて企業業績が好調であり、オフィス拡充に乗り出している企業が多いことがあります。加えて、利便性の高い地域にオフィス需要が集中してきていると見られます。

 これらの点は今後もまだ続くと考えられます。東京のオフィスビル市場は2020年にかけて新築ビルの大量供給が予定されていますが、好調な企業業績を背景とした企業の根強いオフィスビルへの需要などを背景に、空室率は上昇したとしても緩やかなものとなるとみられます。

 堅調なオフィスビル市況は、地方の中核都市でも共通して見られる現象です。

 三鬼商事のデータによると、札幌、仙台、横浜、名古屋、大阪、福岡の日本を代表する大都市では、軒並みオフィスビル空室率は低下し、オフィスの賃料は上昇傾向にあります。札幌に至っては、空室率が2.29%と、東京の2.58%を下回っていて、オフィスビルの需給が極めて引き締まっていることがうかがわれます。

(三井住友アセットマネジメント 調査部長 渡辺英茂)