築10年以内の調査を

 今もなお、欠陥が隠れているのは「ゼネコンがコンクリート打設後にろくにチェックしないから」(都甲氏)。本来スリットがあるべき箇所になかったり、突貫工事で施工が悪くコンクリートの圧力で中のスリット材がねじれたりする(画像(2)参照)。そして、地震など有事の際に建物が破損して、ようやく問題が発覚するのが隠れた欠陥とされるゆえんだ。しかし、今や事前調査は「判定期間が2日間あれば十分」(都甲氏)なのだ。

 さらに、「構造スリットに住民が興味を持たない」(同)のも問題だ。区分所有者は、「住宅品質確保促進法」(品確法)で保護されており、事業主が瑕疵担保責任を負う時効は新築から10年。そのため、10年以内に調査もせず、ぼんやりしていると、自分の資産価値が毀損している可能性にすら気付かない。

 一方で、管理会社も事業主に負担をかけないように、被害さえなければ10年を過ぎてから大規模修繕で対処しようとする。「修繕積立金で新築時の不具合を直す必要はありません。事業主に負担させるべきです」(同)。

 構造スリットの有無は構造図で確認できる。「自分たちの建物は大丈夫だと、住民が人ごとなのが最大の落とし穴です」と都甲氏は警鐘を鳴らす。みすみすチャンスを逃さないよう、10年以内にチェックする価値は十分にある。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)