子どもがワクチン接種をしたかどうか覚えていない方は、母子手帳を見れば分かるでしょう。また、ワクチン接種の有無が不明な成人で、おたふく風邪にかかった記憶がない方は、血液検査で抗体価を調べることもできます。ただ、費用もかかりますし、免疫の効果が落ちてきている可能性もありますので、そのままワクチン接種を受けた方がいいかもしれません。

 特に子育て世代には予防接種を勧めます。昨年の大規模調査でも、ムンプス難聴の発症は0歳児からあり、学童期に最多で、次いで子育て世代に見られました。子育て世代は、子どもからうつされたのだと考えられます。

――「ワクチン接種は副反応が心配だから受けない」「自然でないものを体内に入れたくない」「片側の耳が聞こえるから、それほど問題ではない」といった意見を、ワクチン反対派から聞きますが、これについてどう考えますか?

 ワクチン接種による副反応について、正しく理解されていないことを指摘したいと思います。

 おたふく風邪のワクチンでリスクがある副反応は、無菌性髄膜炎や脳炎などです。しかし、国立感染症研究所によれば、無菌性髄膜炎の発生率は自然感染1~10%に対し、ワクチン接種後は0.1~0.01%。脳炎は自然感染0.02~0.03%に対し、ワクチン接種後は0.0004%。いくつかある副反応のうち血小板減少性紫斑症を除き、いずれも自然感染の方が発生率は高いというデータが出ています。

 医師の中にも「片側の耳が聞こえる」からと、ワクチン接種に否定的な意見の持ち主がいます。しかし片側の耳が聞こえるとはいえ、「いろんな声や音が飛び交う場所では聞こえづらい」「音がどこから聞こえてくるかわからない」「グループでの会話を聞き取れない」といったことを日常的に感じなくてはならない。多感な思春期に、“無視された”と友人から言われ、自信喪失に至ったり、引っ込み思案になったりすることもあります。唯一の対策であるワクチン接種を親や医師が否定するのは、大きな間違いでしょう。

 現状を変えるために、今年5月14日、17学会で構成される予防接種推進専門協議会から、おたふく風邪ワクチンの定期接種を求める要望書を厚労省に提出しました。

 日本は先進国で唯一、おたふく風邪ワクチンの接種が定期接種化されていない国です。予防接種率は30~40%と低く、おたふく風邪の大流行を招いています。「半分、青い。」の人気とも相まり、今後、おたふく風邪ワクチンへの認知度が深まることを期待しています。