インテリアは、まさにフルモデルチェンジだ。シンプルなデュアルコクピットデザインで、センターコンソール周辺を大きくとって、豪勢なスペースを演出する。マルチタッチスクリーンの大型センターモニターに加えて、助手席側にも薄いモニターを置き、ドライバーの運転状況やナビゲーション情報などがモニタリングできる。最大の注目点は6.3リットルのV 12 気筒自然吸気エンジンだ。最高出力は690ps。全回転域においてトルクはFF比で平均5%アップ。最大トルク71・1kg・mの80%を、わずか1750rpmで発生する。さらに新たな電子制御バルブシステムを組み合わせ、抑制されたGTサウンドと、心地よいV12サウンドが魅力的な工夫だ。

電子制御系は
最新手法で大幅にアップデート

 GTC4ルッソは、このV12エンジンをフロントミッドに積み、前輪駆動用のPTU(パワートランスファーユニット、2速+後退の多板クラッチ付きギアボックスで構成)をフロントアクスル側に、そして、7速F1 ―DCT(デュアルクラッチ)ミッションをトランスアクスル方式でリアアクスル側に、それぞれ組み合わせている。FFから継承したシンプルな4WD方式(4RM)は、新たに後輪操舵の制御を加えた4RM ―Evoに発展。これにデュアルコイルダンパー仕様となったSCM ―E(磁性流体ダンパー)を加えて統合制御するサイドスリップアングルコントロール(SSC)は最新世代のSSC4となった。

 要するに、電子制御系は最新手法で大幅にアップデートされている。

 パフォーマンスは、ラグジュアリーなGTとしても、一流のスポーツカーとしても、ほとんど不満がない完成度を誇っていた。

 まず、乗り心地が素晴らしい。ビシッと筋の通った感覚で、ソリッドだがまったく不快ではない。抑制のきいたV12サウンドは、まるで猫がのどを鳴らしているかのようだ。

 高速道路を走れば、安定した加速を見せる。後輪操舵機構が付いた効果で、前輪の動きがFFより落ち着いている。

 ワインディングロードでは、軽快と表現してもいいほどの動きに驚く。タイトベントを強引に切り込んでいっても素直に反応する。ハンドリングは実にシャープだ。それでいて高速コーナーでの安定感は高い。そのバランスは絶妙である。何より感動するのは、高回転域まで回したときのV12エンジンだ。パワーをはじめ、サウンドでもドライバーを魅了する。アクセルを踏み込む右足を起点にした歓喜が、全身を駆け巡る感覚だ。

 スーパースポーツの世界を引っ張ってきたのは誰だったのか?

 それを改めて思い出させる、最高級のグランツーリズモである。

(CAR and DRIVER編集部 報告/西川 淳 写真/小久保昭彦)