清水希容アジア大会で2連覇を果たして帰国した空手の日本代表、清水希容

 黒目がちの瞳に、意志を感じさせるまなざし。演武を競う空手の「形」の選手、清水希容(24)は、そのルックスから“空手界の綾瀬はるか”とささやかれている。

 かわいらしい見た目に注目が集まる清水だが、圧倒的な実力を持つ。何度も国際大会で優勝し、9月2日に閉会したインドネシア・ジャカルタでのアジア大会では、女子形で優勝して2連覇を達成した。追加競技・種目に決まった東京オリンピックでは金メダルが期待されている。

 8月29日、インドネシアから帰国した清水はアジア大会を振り返って、コメントした。

「2年後の東京五輪に向けて、良い大会にはなったかなと思います。今年は世界選手権があるので、そこで優勝するためにどうしたらいいのかという意識で、アジア大会に臨んだ。また、他競技の選手もいる分、良い刺激をもらえました」

 さらに、自身に集まる視線について聞かれると、苦笑しながらもこう答えた。

「自分自身はそういう(見た目に注目されている)感覚は全くないですが……。自分の形を見てもらい、力強さであったりスピード感であったり、空手の良さを多くの人に知ってもらいたいです」

 そのルックスもさることながら、清水の演武は、これまで空手に興味関心がなかった人でもつい見とれてしまうものがある。元世界女王の宇佐美里香さん(32)は、清水についてこう評する。

「形というのは、ただ力強いだけでは相手にききません。彼女には力強さの中にしなやかさがあります」

 実は宇佐美さんは、清水より前に空手界の美女と知られた、元祖・空手美女。空手をしていると美しくなるのか、美しい人が空手をやっているのか……。宇佐美さんは、空手をやっている選手が美しく見える理由をこう説明した。

「形の選手だけでなく、組手の選手も皆、心から美しいと思います。そして、武道の選手は目力があります。無理やり表現しているわけではなく、内面からこう自然と出てきます。選手たちはキリッとした、凜とした美しさを、目指していますから」

 アジア大会の決勝では、清水の演武に、地元の観客も感動したのか拍手喝采だった。東京五輪では清水の演武に世界中の人が魅了されるのは間違いないだろう。

(週刊朝日・大塚淳史)

週刊朝日2018年9月14日号よりAERA dot.より転載