さすがに4選はあり得ないとするなら、安倍政権の“政治的資源”に関しては、「2019年は「政治的に力あり」、2020年は「目立って力が衰える」、2021年は「完全にレームダック化」と考えておくことが一つのメドになろう。

経済に関しては「一安心」

「安倍氏vs.石破氏」という自民党総裁選の構図にあって、万が一、安倍氏が敗れるようなことがあると、株式市場を始めとする資本市場にはかなりの悪材料となるだろう。

 安倍氏が勝つことで、大規模な金融緩和が継続される見通しが立つことは、大いに安心材料だ。

 石破氏の他にも総裁候補に名前が挙がった、岸田文雄氏、小泉進次郎氏なども含めて、安倍氏以外の総裁候補は、財政に関して明らかに緊縮指向であり、このことは現在の政策フレームワークでは、金融緩和の後退を意味する。

 万が一「石破首相」ということにでもなると、2〜3ヵ月の間に「為替レートは10円円高、日経平均は2000円安」というくらいの材料になるのではないか。

 国民の間でも「安倍政権になってから、就職事情がずいぶんよくなった」「この状況が変わるのは不安だ」と思う向きが少なくあるまい。

 選挙戦略的にも石破氏は、アベノミクスを丸ごと批判するのではなく、むしろこれを肯定して、さらに上をいくと言えばよかった。加えて、安倍氏に対して先手を打って、2019年に予定されている消費税率引き上げをストップして、金融・財政両面からデフレ脱却を完成させるとでも訴えるとよかったのではないか。

 筆者は、消費税率を引き上げる前提で経済の議論をした時点で、石破氏には勝機がなくなったと考えている。

 政権を持つ側では、消費税率に関する情報発信が難しい。一つには、経済運営が上手く行っていることをアピールするには、2019年時点では消費税率を上げられる状況だと胸を張る必要がある。

 もう一つには、現在の経済運営に対して政権が自信を持っていると言うことには、国民の期待に働きかける情報上の効果もあるので、「今の情勢では、消費税率の引き上げはできないかもしれない」とは言いにくい。他方で、「消費税率は引き上げない」と言った場合の財務官僚の反発に対しても考慮が必要だ。