政府(官僚)による配分より、ふるさと納税のような国民による配分を導入したほうが、うまく自治体運営できる可能性が広がるのだ。

 しかも、全体の控除額は個人住民税収額12兆8179億円の2%にも満たないものだ。この程度なら、地方自治の原則や応益負担を基本にする住民税の根幹を揺るがすことはない。

配分を差配してきた役人には
「目の上のたんこぶ」

 ふるさと納税をよく思わない人もいる。中でも税金を集めて配り直すという役人の本性からいえば、ふるさと納税は「目の上のたんこぶ」である。

 その中で、過度な返礼品になっているという批判も出ている。ただ、返礼品に上限等の規制は慎重に対応すべきだ。

 寄付を受ける自治体が持ち出しまでして高額な返礼品を出しているわけでない。「足による投票」を推進する立場にたてば、過剰な規制はいらない。

 そうした規制を望むのは、政府(官僚)による配分が絶対に正しいと考えるからだろう。政府(官僚)による配分には不正もある。「足のよる投票」のほうがよりましだと考えれば、過剰な規制はふさわしくない。

 ふるさと納税への規制について、報道される時に、必ず「本来の趣旨」という言葉が用いられる。制度創設に関わった筆者からすると、その言葉は、制度導入に猛反対した総務官僚が使っていたのを思い出す。

 つまり「本来の趣旨」というのは「本来、官僚が反対したもの」という意味なのだ。

 しかし筆者のところに、制度導入の「本来の趣旨」を聞きに来るメディアはいない。

菅官房長官の携帯料金発言に
対する意趣返しの様相

 今回の野田総務相のふるさと納税規制強化を、政治的な側面から見ると、興味深い。

 自民党総裁選では、野田総務相も出馬意欲を示していたが、推薦人も集まらなかった。仮想通貨問題で政治家として致命的なミスをしてしまい、結果として出馬さえできなかった。

 こうした状況もあって、本来、行うべき携帯料金問題の検討が進まなかったので、菅官房長官が業を煮やしたのだろう。

 8月21日の講演で菅官房長官は携帯料金について「4割程度下げる余地がある」と語ったが、この発言は当然のことながら個人的なものではなく、政府の意図だ。

 野田総務相は、23日、携帯電話市場の競争促進策などを議論するように情報通信審議会に諮問した。

 総務省の携帯料金の担当者は、料金引き下げの菅発言を寝耳に水といっているようだが、担当大臣の野田総務相より先に菅官房長官が総務省の方針を発言するのは、安倍政権内での菅官房長官と野田総務相の現時点の政治力の関係を如実に表している。