指摘後数年でつぶされる節税術
大きな会計検査院の影響力

(1)小規模宅地等の特例(相続税の大幅節税が可能な特例)に関する規制
 2005年度決算検査報告(2006年公表)による指摘を受けて、2010年度に改正された。これにより、相続税申告での節税戦略に大幅な影響を及ぼす結果となった。

(2)自動販売機設置による消費税還付に関する規制
 2008年度決算検査報告(2009年公表)で、賃貸マンションなどの建築取得にかかわる消費税を、自動販売機を使って還付するスキームが著しく公平性を害すると指摘、2010年に改正された。

 その際、財務省は税制改正要望事項一覧には挙げていなかったにもかかわらず、会計検査院指摘を受けて税制調査会が急遽 動いた経緯がある。それほど、会計検査院による報告は重要視されているのだ。

(3)定期金の評価(保険を使った相続税節税スキーム)に関する規制
 2006年度 決算検査報告(2007年公表)で、1億円のキャッシュで個人年金保険に加入し、年金受給権を35年超とすれば評価を2000万円に引き下げることができ、相続税を節税することができるという相続税対策がおかしいと指摘を受けて、2010年度に改正された。

(4)相続税の取得費加算(相続後の土地売却に関する特例)に関する規制
 2011年度 決算検査報告(2012 年公表)の、相続税負担のある相続人が相続で取得した土地を売却した場合の税金がかなり優遇される特例が、2014 年度に税制改正された。

 イメージは、10筆の土地を相続した際に支払った相続税が1億円(10筆分の相続税)で、そのうち1筆を売却した場合でも、売却した金額から1億円(同)を経費で差し引けるというもの。要は1筆分の相続税ではなく10筆分の相続税を控除できるため、売却した際に税金をかなり圧縮できる特例。しかし、これも会計検査院報告であえなくふさがれる形となった。

 どうして会計検査院は、ここまでの影響力を持っているのか。その理由は、会計検査院が憲法に基づいて設置された“調査機関”だからだ。憲法90条には、「国の収入支出の決算は、全て毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない」と定められている。それほど強力な国家権力を持った調査機関であるため、当然、税制改正に大きな影響を及ぼすのだ。