自販機の衰退で、国内飲料の売り上げの8割を自販機チャネルに頼るダイドーが苦境にあえぐ。昨年度は増益となったが、全く安心はできない状況だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

 価格競争が激しく、かねて“もうかりにくい業界”と呼ばれてきた飲料業界。昨年度は過度な競争から脱却し、各社が利益率を改善させた。

 業界に光明が差す中、いまだ曇天の下にあるのがダイドーグループホールディングス(HD)だ。競合のサントリー食品インターナショナルやキリンHDなどが国内飲料事業で7%以上の営業利益率を出した中、ダイドーはここ数年2~3%台と長らく浮上のきっかけをつかめずにいる(図(1))。

 ダイドーは競合他社に比べて特殊なビジネスモデルを持つ。売り上げの7割以上を国内飲料事業が占め、そのうち販売チャネルでは自動販売機が約8割にも及ぶ。自販機チャネルが中心で需要量が安定しているため、飲料事業で自社工場は持たず、外部に生産を委託するファブレス経営を行っている。

 だが、他社との差別化につながってきたこの自販機への偏りによって、国内の環境変化の逆風をもろに受ける結果となっているのだ。

 まず一つは、自販機そのものが厳しい。