視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。
20年間時価総額トップ10に
入り続けるオンリーワン企業
突然だが、皆さんは自分の会社の「ミッション」をご存じだろうか? 知っている人は、日々それを意識しながら仕事をしているだろうか?
ミッションとは、その企業が果たすべきと考える使命であり、存在意義だ。多くの場合、創業者や経営トップの理念が表現される。
例えばグーグルのミッションは「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」だ。
また、アマゾンのミッションの1つは「地球上でもっともお客様を大切にする企業であること」。
上阪 徹 著
ダイヤモンド社
1600円(税別)
このようにミッションが明確に示されていれば、各々の従業員はそれに沿って自らの行動を判断できる。そうすれば、結果として会社全体が同じ方向に進めるはずだ。ミッションは企業が成長する原動力になるのだ。
そのことは、グーグルやアマゾンのさまざまな事業展開を上記のミッションに照らしてみれば納得できるだろう。
しかし、それぞれの企業を取り巻く環境や、おかれた状況は不変ではない。であるならば、ミッションもそれらに従い変えていかなければならないのではないか。
本書『マイクロソフト 再始動する最強企業』を読むと、そうした、状況に合わせた「ミッションの更新」が、長期的、持続的に成長するのに重要であることが実感できる。
本書でリポートされるのは、言わずと知れたIT巨人の1つ「マイクロソフト」によるこれまでの改革、そして未来に向けての戦略だ。およそ20年前に世界最大のソフトウェア会社の地位を確立した同社が、さらなる成長をめざして、どのように生まれ変わろうとしているのかを、従業員などへのインタビューを元に明らかにしている。