食事面接候補者をジャッジするために、会食を設定するケースが増加しているようです Photo:PIXTA

候補者をジャッジするための
会食を設定するケースが増加

 最近、エグゼクティブ転職を中心に増えているのが「食事面接」です。

「食事でもしながら情報交換をしましょう」
「おいしいご飯を食べながらざっくばらんに業界の将来について意見交換しませんか」

 よくあるパターンはこんなふうに声をかけられて最終面接の後、内定が出る前に社長や採用責任者などと一緒に食事に行くというものです。また、仮に入社したら一緒に働くことになる社員たちとカジュアルな場で食事するパターンもあります。

 いずれにせよ誘い言葉は情報交換や意見交換ですが、もちろんその目的は候補者をジャッジすることにあります。

 確かに、オフィスでの面接には限界があります。そこで場所を変え、おいしいお酒でも飲みながらお互いにリラックスした状態で、終了時刻の決まっていない時間の流れのなかでいろいろな話をするのは「有り」でしょう。

 候補者と食事に行くことは以前からありました。ただし、それは最終面接を終えて内定を出したが候補者がまだ迷っているとき、フォローのために行われるのが通例でした。つまり、企業側が採用の意思を固めているのが前提だったのに対し、最近は内定後のフォローではなく内定を出す前のジャッジをするために行うパターンが多いという違いがあります。

 さらに熱心な企業では、人材紹介会社から推薦された候補者の書類を見て「この人はいい」と思ったら即座に声をかけ、食事の席をセットする経営者もいます。その目的は本来なら自社に応募してもらえない水準の候補者にまず会社のファンになってもらい、ひいては採用につなげることにあります。

 ただし、この経営者はその業界では名前の知られた方。知名度のある経営者だからできる特別な事例で、一般的な会社でやっても成果を出すのは難しいと思います。いきなり「一緒に食事でも」と言われても、多くの人は躊躇するでしょう。