「え、月に2万元も渡しているの? それって私の給料よりいいじゃない!」

 1元を16円で換算すると32万円だ。しかも、アイさんの仕事は、朝7時の食料品の買い物以外は「何をして過ごしてもいい」というもの。掃除、洗濯などの家事への要求はほとんどない。高額を支払う理由は、このアイさんには専門学校卒という学歴があるためだ。ゆくゆくは生まれてくる子どもの家庭教師として囲い込んでいるらしい。

 ちなみに筆者も上海在住時にアイさんにお世話になったことがあるが、90年代後半は月500元(当時約8000円前後)でも、この仕事を喜んで引き受けてくれたものだった。

 こんなに楽な仕事でもらえる「32万円の給料」は、朱さんに大きな衝撃を与えた。だが、それにも増す衝撃は、「32万円の給料」を払える幼なじみの財力だった。

 同じ土地の出身で、同じ年齢、語学能力も専門スキルも大きく差がないふたりの女性だが、収入の格差はあまりにも大きい。

「日本企業の給与水準は高くはないと覚悟はしていたけど、格差の大きさに正直混乱しています」と朱さんは言い、こう続けた。

「日本は政策で海外からの優秀な人材を獲得しようとしているけど、この給与水準では人材も集まらないのでは……」

初任給40万円の中国企業

 顧佳さん(女性・仮名)もまた大学院留学を経て、最近日本の金融業界に就職をしたひとりだ。大学時代には日本語を徹底的に身につけたが、さらなるスキルアップのために、アフターファイブはビジネス英語を学んだ。顧さんはその語学学校で、日本に拠点を置く中国企業に派遣された中国人駐在員と出会った。

「その中国人は、中国屈指の大学で理系に進んだ女性でした。数年前に中国の大手通信機器メーカーに就職して、当時、2万5000元の初任給をもらっていたと言いました」