ライバル三菱商事に純利益で肉薄する三井物産。だが、その収益構造は資源価格に左右されやすく、盤石とは言えない。非資源分野の強化で、資源“一本足打法”からの脱却はなるか。

 商社が、軒並み好業績に沸いている。今週発表される予定の2012年3月期決算では、業績トップの三菱商事が純利益4500億円を計上する見通しだ。丸紅など他の商社も、史上最高益を更新するとみられている。

 他業界がうらやむ好業績の背景には、過去に投資した鉄鉱石や石炭などの海外での資源権益がある。さかのぼれば40年ほど前の投資案件が、昨今の資源高の波を受けて花開いているケースもある。トライ・アンド・エラーを繰り返しながらも、「長期的視野を持って投資してきた結果だ」というのが、わが世の春を謳歌する今の商社マンの自負だ。

 三井物産も例外ではない。12年3月期の純利益は4300億円と、最高益を更新する予定で、4500億円で一歩先を走る三菱商事との差も縮まる。近年の総合商社6社の純利益推移(図(1))を見れば、財閥系商社の二強時代の色が鮮明になりつつあるように見える。

 ところが、三井物産の今後については、懸念する声が社内外から漏れ伝わってやまない。「資源の“一本足打法”では、未来も盤石とは到底言えない」と、幹部たちも自らに言い聞かすように漏らす。

 どういうことか。図(2)をご覧いただきたい。双日を除く大手商社5社の純利益のうち、資源・エネルギー分野の収益を引いた、“非資源”分野の収益の推移を示した。

 全体の純利益では上位の三井物産が一転、非資源分野では最下位に落ちる。それもそのはず。12年3月期の見通しでは、4300億円の純利益のうち約3660億円、実に9割近くを資源・エネルギー部隊が稼ぎ出す。15ある営業本部のうち、金属資源本部と、エネルギー第一本部、第二本部の3本部でほぼすべての利益を担う、異様な収益構造になっているのだ。