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「非正規を減らせば格差は縮む」とよく言われるが、それは本当だろうか。賃金データを丹念に追うと、男性では格差が拡大している一方で、女性では格差がほとんど広がっていないという対照的な現象が浮かび上がる。本稿では、雇用形態の多様化と賃金格差の関係を検証し、非正規雇用をめぐる政策の妥当性を問い直す。※本稿は、一橋大学経済学部編『新・教養としての経済学より良い未来を選択するために』(有斐閣)のうち、横山泉氏による執筆パートの一部を抜粋・編集したものです。
男性と女性で異なる
雇用形態の傾向
働き方が多様化し、パート・アルバイト・有期契約社員(1年契約など、期間の定めのある労働契約)・派遣社員といった典型的ではない雇用契約のもとで働く労働者が世界中で増えている。こうした労働者は、「非正規雇用者」と呼ばれる。そして、彼らの賃金の低さや雇用の不安定性が問題視され、さまざまな政策的な対応がとられるようになってきている。本記事ではこれらの労働の雇用形態の多様化の実態を把握し、この多様化が労働市場にもたらす影響について見ていくこととする。
まずは、1984~2024年の期間における、雇用形態別雇用者(企業などの組織に雇われている人)の数を男女別に見てみよう。第1に、図1(a)、(b)の間で雇用者数の変化を比較すると、この期間全体を通して、まず男性の雇用者数は安定的な推移をしているのに対し、女性の雇用者数は増加が顕著である。これは近年の女性の労働参加率の上昇を反映したものである。第2に、雇用形態別に注目してみると、女性におけるパートとアルバイトの増加がこの期間中、特に大きいことがわかる。また、2000年以降は、女性においては派遣社員の数も無視できない規模で増加している。







