米国、英国のメディアでも取り上げられる

私どもが想定していたのは、東急ハンズやロフトなどのバラエティショップでしたが、実際に手を挙げてきたのは書店でした。TSUTAYAでは、新刊ベストセラー本さながらに店頭にピラミッド状に積み上げてPRしてくれました。すぐに出版取次会社最大手の日販、トーハンとの取引も決まりました。

つまりこの商品は、トイレットペーパーの形をした「書籍」だったのです。
また、ニュースリリースによって、国内のみならず、アメリカの「ABC」テレビ、イギリスの『The Daily Telegraph』紙等々、名だたる海外メディアにも取り上げられ、海外からも注文が入りました。こうして、“日本一怖いトイレットペーパー”『ドロップ』は販売からたった1ヵ月で10万個(部)の大ベストセラーになりました。すぐに『ドロップ2』、翌年には『ドロップ3』が発売され、販売累計数は30万個(部)を超えました。

そうすると今度は、これらを翻訳して海外向けに販売してはどうかという話が持ち上がりました。さすがに海外となると、販路の問題もあってかなりハードルは高くなります。

このときは苦肉の策で、「この商品は“クールジャパン”である」という位置づけにして、鈴木光司さんと林社長が経済産業大臣にその商品の説明に行くというパフォーマンスを行いました。これをメディアが取り上げたことで話題となり、予定していた1万個(部)は間もなく完売しました。林社長によれば「なぜか、イギリスでよく売れた」そうです。

こうしてついに『ドロップ』は、「世界一怖いトイレットペーパー」になったのでした。

トイレットペーパーを10倍の値段で<br />30万個売ったPR戦略とは?<br />