「空飛ぶ車」として開発段階から注目を集めてきた米Terrafugia社(マサチューセッツ州ウォバーン)開発の「Transition」試作機が、ニューヨーク国際オートショー(一般公開:4月6日~15日)にて、一般公開された。
Transitionは2人乗り軽飛行機と乗用車の機能を併せ持ち、車と同じようにガソリンで飛行、走行することができる。飛行機としては全長6×全幅8×全高2メートルで、重さは440キロ。
車として走行するときは、コックピット内にあるレバーを操作して翼を折り畳む。折り畳みの所要時間は30秒以下だという。翼を畳むと幅2.3メートルとなり、一般家庭の車庫に十分収まる大きさだ。
飛行機としての最高飛行速度は時速185キロ、自動車としては時速113キロ。燃料タンクの容量は87リットルで、燃費は飛行時が1時間あたり18.9リットル(時速172キロで飛行した場合)、走行時が100キロあたり6.7リットルという。
Terrafugiaは、マサチューセッツ工科大学(MIT)出身のパイロットと技術者らが中心となり、2006年に設立したベンチャー企業。パイロットといってもいわゆる商業用飛行機を操縦するプロのパイロットでなく、自家用飛行機のパイロットだ。
パイロットとして空を飛べ、かつ道路も走れる便利な乗り物が欲しいというのが、Transition開発の理由だという。ちなみにTerrafugiaとは、ラテン語で「地球からの逃避」という意味だそうだ。
Transitionは「Light Sport Aircraft」というカテゴリーで登録されており、操縦するには最低20時間の飛行訓練が必要な「スポーツパイロット」免許が必要となる。もちろん地上走行するには運転免許がいる。
さて、気になるお値段のほうだが、現在予定されている販売価格は27万9000ドル。同社は空飛ぶ車の予約受付けを開始しているが(内金1万ドルが必要)、すでに約100件の予約が入っているとか。
車としてはもちろん、軽飛行機としても決して一般人に手が届く価格とは言えないが、富裕層や企業としての購入の可能性は十分ありそうだ。Terrafugiaは、将来的には年間500機の販売を目標にしているという。
(岡 真由美/5時から作家塾(R))