景気は悪いより、良い方がいいに決まっています。だからみんな好景気を望んでいる。でも、誰かひとり、どこかの会社1社ががんばってもダメです。国ががんばらないといけないのです。
前提知識がなくても、経済のことがざっとわかるように解説した『新版:今までで一番やさしい経済の教科書』。連載第4回では、景気と国の関係について説明していきます。

ところで、「国」って何のこと?

 ここでいう「国」とは、「政府」と「日銀」のことです。政府と日銀は日本経済の景気に大きな影響を与える力を持っています。

 日本を代表する大企業も間接的に経済に影響を与えることがあります。でも、「政府」と「日銀」は直接的、しかも大規模な政策を実施することができるので、経済に与える影響も非常に大きいのです。政府と日銀は、景気をいい方向に導いていくことができますし、また導いていかなければなりません。

 ただし、政府と日銀ではそれぞれ実施できる政策が異なります。それぞれ一体どのようにして日本経済全体に影響を与え、景気を良くしようとしているのでしょうか?

どうすれば、「景気が良くなった」ってことになるの?

連載2回目では、「日銀短観(日銀がまとめているアンケート)」を紹介しました。日銀が各企業に対して「儲かってますか?」と聞き、それを集計して「世の中の動向」として発表するのです。

 またその他にも客観的な指標として、「有効求人倍率(仕事をしたくて応募している人1人に対して、何件〈求人募集〉があるか)」や「鉱工業指数(鉱工業の生産・出荷額や在庫数量などを判断する指標)」もありますが、一般的にはGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)」という指標で表現することが多いです。

 このGDPの値が大きければ経済の規模が大きい、値が小さければ、経済の規模が小さいということで、さらに去年と比べて大きくなれば、「景気が良くなっている」ということを示していることになります。