米国で始まった「前向きな変化」
世界の景気は底入れに向けたシグナルを

 景気は底入れに向けたシグナルを発し始めている。もちろん、円高や欧州財政問題などは、なおも大きなリスクとして重石になり、持続的な回復へとつながるかどうかの見極めには今しばらく時間がかかる。

 虚心坦懐に、先行指標となりそうなデータを見ていこう。まず、米国では、雇用統計とISM製造業・景況指数が上向く変化を見せている(図表1参照)。

 正確に言えば、両指標ともにすでに2011年11月のデータから底入れしていたが、それが単月のブレなのかどうかがわからなかった。2月時点で、データの方向感が底入れを見せ始めたことで、ある程度の蓋然性が高まったと言える。

景気情勢の方向感は「上」か「下」か<br />――熊野英生・第一生命経済研究所 <br />経済調査部 首席エコノミスト

 米国では、クリスマス商戦が堅調に推移したことで、10~12月の実質GDPは前期比+2.8%と前期(+1.8%)、前々期(+1.3%)の拡大ペースを上回っている。これは、長期金利が秋以降に低下し、FRBの金融緩和が浸透してきた影響が、住宅投資や耐久消費財消費に効果を及ぼしているという解釈ができる。

 前向きな変化は、米国のみならず、欧州でも日本でも少しずつ確認されてきている。最も慎重に見られている欧州でさえも、2011年末あたりから製造業のPMIが反転する変化がある。