GDPって何のこと?
ここで「GDP」について確認しておきましょう。GDPとは、「生産された付加価値の合計」を表しています。「付加価値」とは、おおまかにいって「儲け」「利益」と同じ意味です。
100円のものを仕入れて、150円で売る場合、この会社の儲けは50円です。これが「付加価値」です。仕入れた商品に何か価値を付け加えるから、仕入れ値よりも高く売れる。付加価値の分だけ高く売れるのです。厳密にいうと若干違うのですが、まずはイメージとして「付加価値」=「儲け」と捉えて問題ありません。
そして「付加価値」が「儲け」だとすると、「付加価値」が生産されるのは、簡単にいうと、「商売が成立したとき」となります。だから、「付加価値がたくさん生産される」=「たくさん商売が成立している」ということになり、だから国の経済規模を計るときにこの「GDP」を使うんです。
そしてこのGDPが増えていれば、経済が拡大している、つまりたくさん商売が成立していて、景気が良くなっていると判断できるわけです。
国はどんな対策をしているのか?
では本題に戻ります。政府と日銀は一体どうやって景気を良くしようとしているのでしょうか?
日本は「資本主義経済」なので、商品の価格は、売る人と買う人が自由に交渉して決めることができます。「市場経済」のシステムを採用しているわけです。となると、買うのも自由、買わないのも自由なわけで、強制的に買わせることはできません。
なので、市場経済を前提に考えると、商品が良く売れるときもあれば、まったく売れないときもあり、それを決めるのはお店ひとつひとつ、消費者一人ひとりになるわけです。だから国が自由にコントロールすることはできないのです。
ただし、「国」がなんとかコントロールする方法もあります。おおまかにいうと、その方法はふたつあって、ひとつは政府が一般企業から買っている商品の量を増やしたり減らしたりする方法(これを「財政政策」と呼びます)、もうひとつは、日銀が世の中にあるお金の量を調節する方法(これを「金融政策」と呼びます。詳しくは、『新版:今までで一番やさしい経済の教科書』に説明しています)です。