「不景気、不景気」と言われるけれど、そもそも「景気」ってどういうことか知らない人も多いのではないでしょうか?
前提知識がなくても、経済のことがざっとわかるように解説した『新版:今までで一番やさしい経済の教科書』。本連載第2回では、景気について説明していきます。

景気とは何のこと?

 新聞やニュースで、よく「景気がいい、景気が悪い」という言葉が使われます。経済の状態を指していますが、正確に考えると、「景気」とは一体何なのでしょうか?

「景気」とは、「経済活動全般の動向」のことです。ただ、そんなこといわれても意味がわかりませんね。なので、「景気」=「全体的に、商売がうまくいっているかどうか」として捉えてください。「景気がいい」とは要するに商売がうまくいっていることで、「好景気」、逆に景気が悪いとはなかなかビジネスが難しくなっているということで、「不景気(不況)」と呼ばれています。

 ただ、通常「景気」といったら、自分の会社のことではなくて、その地域全体、日本全体で考えて「商売がうまくいっているかどうか」を表しています。

 超好景気の時代でも、商売がうまくいかなくて倒産する会社はありますし、反対に超不景気でもザクザク儲かっている企業もあるんです。このような一部の例外を除いて、全体的に見て「うまくいっている」「うまくいっていない」で景気は判断されます。

 一般的には、景気が良くなると、企業の業績は上がって、失業率が下がり、株価は上がる。そして労働者の給料・ボーナスも増えて、みんなハッピーの状態になります。なので、政府としても景気が良くなるように、対策を考えて実施しているわけです。

 ちなみに、経済が発展するために政府が行う政策を「財政政策」、日銀が行う経済政策を「金融政策」といいます(これについては『新版:今までで一番やさしい経済の教科書』で詳しく説明しています)。

誰が「景気がいい」と決めているの?

 しかし、そもそも「景気がいい」「景気が悪い」というのは、どういう基準で、どうやって決まっているのでしょうか? じつは、景気が「いいか悪いか」は、客観的な事実だけではなく、人の主観的なイメージで決まっている部分もあります。