秋を迎え、全国各地でインフルエンザによる学級閉鎖や集団感染のニュースがちらほら出始めた。
例年師走ごろからインフルエンザウイルスは猛威を振るうようになる。本格的なシーズンを前に、全国の病院で大阪の製薬中堅、塩野義製薬のMR(医薬情報担当者)が早くも熱を上げている。熱といってもこちらは営業活動の熱。「こんな売り込みやすい製品は二度とないかもしれないぞ」と、社内でハッパを掛けられながら。
この製品とは「ゾフルーザ」(一般名はバロキサビル マルボキシル、写真)のこと。インフルが大流行した昨シーズン終盤に、彗星のごとく現れた革新的なインフル新薬だ。わずか2週間で40万人に処方され、約24億円を売り上げた。
1回投与の錠剤タイプ。複数回投与では飲み忘れが起きかねないが、1回だけなので飲み忘れはまずない。ここまでなら昨シーズン売れ筋1番手の第一三共「イナビル(吸入タイプ)」と同じだが、経験者ならご存じのように吸入タイプの薬はコツがいる。薬剤師が丁寧に教えてくれるのが通常だが、患者にすればインフル罹患時に煩わしい作業はストレスフル。薬剤師にしてもレクチャーにかける時間を他の作業に回せるなら仕事が効率的になるだろう。