「なりたい仕事に就く」ために必要なこと
本田:最後に、小説家志望の人に何かアドバイスをいただけますか?
吉本:その人が、小説家に向いているのであれば、放っておいてもなれます。ただし、放っておいても書かなければダメだし、「他人の求め」がなければダメですけど。
本田:僕自身、「作家」になるとは思っていなかったし、今でも「作家」と呼ばれると「恐れ多いな」と思ってしまって、何か、変な汗が出るんです(笑)。
吉本:本田さんが本を書くようになったのは、「向いているし、求めがあったから」だと思います。
本田:ありがとうございます。ばななさんにそう言っていただけると、感激です。じつは僕も、アメリカの出版社と正式に契約を交わしていて、2019年から、世界25ヵ国以上で、デビューが決まっているんです。世界で活躍されているばななさんから、これから世界に出て行く後輩の僕に、何かアドバイスはありますか?
吉本:日本人にしかない「繊細さ」や「やさしさ」を武器にしてみたらどうでしょうか。たとえば、アメリカ人が『大富豪からの手紙』を読んだとしたら、「この主人公は繊細すぎる!」と思うかもしれない。
でも、「繊細だからこそ、人生の意味を見つけることができた」ということを打ち出していけば、きっと、アメリカ人の学びになると思います。
(完)