「その人が、その人らしくなる」のを手伝いたい

「今、無理していること」は、やめていい<br /><br />本田健(ほんだ・けん)
作家
経営コンサルタント、投資家を経て、育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」「ライフワーク」「ワクワクする生き方」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は3500万ダウンロードを突破。著書は、100万部を突破した『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)など、著書は130冊以上、累計発行部数は700万部を突破している。2017年にはアメリカの出版社Simon & Schuster社と契約。初の英語での書下ろしになる著書はヨーロッパ、アジアなど世界25ヵ国以上の国で発売されることが決まっている。(Photo by 森藤ヒサシ)

本田:大富豪の祖父が孫の敬(ケイ)に残した8番目の手紙のテーマは「人間関係」です。ばななさんにとって、「人間関係」とはどんなものですか。

吉本:あまり得意ではありません(笑)。やっぱり、「犬」とかのほうがいいな。いつも、「犬のほうがエライな」と思っています。

本田:でも、ばななさんは小説の中で、「ある種の人間関係」を切り取って描いていらっしゃいますよね?

吉本:「犬」と「自分のこと」ばかり書いているわけにもいきませんからね(笑)。

本田:ということは、「人間が苦手」と言いながら、やっぱり、「人間」がお好きなのかな、という感じがします。

吉本「人間が好き」とか「人間関係が好き」というのではなくて、「その人が、その人らしくなるのを手伝う」ことが好きなんです。

その人が、その人らしくないことしているときは、「違う」と伝えてあげたいし、その人が、その人らしいことをしているときは、「いいと思うよ」と応援してあげたい。そういうお手伝いは、小説を通しても、自分の人生を通しても、一生していきたいなと思っています。

「その人らしくなってほしい」とか、「今、無理していることをやめてほしい」とか、「持って生まれたものを、大事にしてほしい」とか、そういうことに気づいてもらいたくて、私は書いているので。

2013年に『花のベッドでひるねして』(毎日新聞社)という小説を書いたのですけど、この小説は、本当に、無意識で書けた作品です。この作品以降、「自分のために書くのは終わった」と感じていて、今は「人のためにだけ」に書いています。