著者累計700万部突破のベストセラー作家で、新刊『大富豪からの手紙』でも8万部突破の著者・本田健さん。そして、『キッチン』で鮮烈なデビューをして以来、著書が世界30ヵ国以上で翻訳・出版され、イタリアだけでも250万部以上売れているという吉本ばななさん。お2人による「ベストセラー対談」をお届けします。本田健さんが『大富豪からの手紙』で取り上げた「人生で絶対に外してはいけない9つのテーマ」（「偶然」「決断」「直感」「行動」「お金」「仕事」「失敗」「人間関係」「運命」）について、本田健さんと吉本ばななさんに語り合っていただきました。
クヨクヨ悩んでいないで、即、行動する
吉本ばなな1964年、東京都生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年「キッチン」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。以後、88年「ムーンライト・シャドウ」で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、95年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで、93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞「アンダー35」、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞の4賞を受賞。近著に『吹上奇譚 第一話 ミミとこだち』『切なくそして幸せな、タピオカの夢』がある。「note」にて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた単行本も発売中。
本田：大富豪の祖父が、主人公に残した「9つの手紙」のうち、4番目の手紙が「行動」です。ばななさんにとって「行動」とは、どういうものですか？
吉本：電車の中で、「お年寄りに席を譲る」みたいな感じかな、って。「譲ろうかな、どうしようかな。この人、60歳かな、70歳かな」と考えていたら、もうダメですよね。お年寄りを見たら、すぐに、パッと立って譲る。そういう潔さが大事だと思います。
本田：「行動しようか、どうしようか」と、悩んだり、グルグル迷ったりすることはありませんか？
吉本：ほとんど迷わないですね。
本田：でも、ばななさんが書く小説の主人公は、迷ったり、悩んだりしていますよね？
吉本：「何を迷っているんだ、この主人公は！」と呆れながら、書いています（笑）。主人公に悩んでもらわないと、「悩みから抜け出したあとのこと」が書けないから、やむなく、悩んでもらっている感じですね。
本田：『大富豪からの手紙』の主人公の敬（ケイ）は、祖父から「失敗」の手紙も受け取るのですが、ばななさんにも「失敗した」と感じるときはありますか？「ダイエットをしよう」と思って行動してみたけれど、失敗した、とか（笑）。
吉本：ダイエットは、よく失敗します（笑）あと、私は「お金」に疎いので、「お金のジャンル」に関する失敗は多いかもしれません。「あっちじゃなくて、こっちを買っておけばよかった」とか。
昔から、モノポリー（不動産を取引をするボードゲーム）をやっても、大貧民（トランプのゲーム／大富豪）をやっても、「気が小さい」と言われてきたので、大胆なお金の使い方は得意ではないんです。とくに、不動産には、弱いですね（笑）。
