一言繰り返すだけとはいえ、これが、なかなかどうして奥が深い。
「なぜ、オウム返しがいいのか。たとえば、『~ですか』『~ですね』と語尾だけを繰り返したり、長いフレーズを真似すると、相手の話すリズムが崩れてしまいます。ですので、僕は単語一言だけ、たとえば相手が『昨日、友達とパワースポットに行ってね』と言ったら『パワースポット』、『明日、彼女とデートでフレンチを食べに行くんだよ』と言ったら『フレンチ』。これなら誰でも簡単にできますよね。えっ、難しかった? そんなはずはないですよ。その証拠に、ワークの3分が終わる頃には、みなさん結構できるようになってましたよね?(笑)」
確かに、指摘されてみるとその通り。3分間もしゃべり続けたり、アゴを合わせ続けるのは、正直長いなと思うのだが、その内訳を振り返ると、最初の1分で戸惑い、次の1分で慣れてきて、最後の1分で何となくできるようになっている。この繰り返しだった。ほとんどの参加者が、たったの3分間で、何となく形になってきているのだ。
しかも、最後のワークが終わると、それまでお互い挨拶もしていなかった参加者同士が、いたるところで勝手に名刺交換を始めている。「アゴの魔法」は、紛れもなく誰でも簡単に習得できて即効性のあるスキルだった。
最後に、松橋氏のコメントを紹介して、この潜入記を締めくくりたい。
「アゴを合わせたり、オウム返しをして相手のことを知っていくことは、決してビジネスだけで役に立つわけではありません。私自身、自分の母親に使ったことがあります。すると、延々9時間も話し続けてくれました。それによって、それまで知らなかった母の思いを知り、互いの距離が縮まったのです。ぜひ、みなさんも、会社の同僚や家族、友達を巻き込んで、実践してみてください」
(了)
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