5年後に売却された価格は少なくとも50%以上値上がりし、今では値上がり率は110%になった。つまり、築10年にして元の価格から2.1倍になったのだ。定借マンションでも安ければ売れることを証明した事例だ。これは価格が安ければ都心に住みたいというニーズの裏返しでもある。シティタワー品川は最寄り駅が品川で、アドレスは港区であり、80平方メートル台で2000万円台。これなら希望者が殺到するわけだ。この物件は定借マンションだからというより、価格の決まり方が特殊だったと考えた方がいいかもしれない。しかし、割安で売り出された場合にはチャンスになることは覚えておこう。

 定借マンションが値上がりする王道パターンは、稀少立地だ。たとえば、フランス大使館の敷地に建つプラウド南麻布は築5年が経過して、新築時よりも21%値上がりしている。住戸の向きは森のような大使館側と前面道路側に分かれるが、大使館側は大きく値上がりしている。稀少な一等地で格別な眺望が手に入る場合、定借であるかどうかが意味をなさなくなるという好例だろう。不動産は唯一無二の商品であり、そのロケーションと景観は代替するものがない場合、価格競争力を相場で語ることができなくなるものだ。

◆図表1:中古値上がり率上位5行政区の物件一覧

中古値上がり率上位5行政区の物件一覧
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定借マンションのエリア選定で
注目すべきは「インナー東京」

 定借マンションの人気は都心ほど顕著である。首都圏のマンションを調べると、値上がり率の高い上位5区の平均は22%になる。中央区・港区・新宿区・渋谷区・品川区の5つで、サンプルはなかったものの都心3区の1つである千代田区でも同様になると思われる。

 その意味で、都心とその周辺の6区が最も確実性が高い立地と言えよう。このエリアを私は「インナー東京」と呼んでいる。ロンドンの中心地をインナーロンドンと呼ぶのにちなんでいる。

 これらの行政区を除く都区部では、中古値上がり率が平均▲3%と25%もの差がつく。都区部以外は平均▲13%になり、定借マンションは都心以外を考えない方が得策と考えてほしい。

◆図表2:定借マンションの行政区別中古値上がり率

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