「自宅投資」の基本は住み替え
10年後の物件価値は予測できるか?
アメリカの物件検索サイトには、全米のすべての家の価格が査定されているものがある。「Zillow.com」(ジロードットコム)がそれだが、自分の家と隣家や友達の家の価格を、子どもでもネット上で比較することができる。
しかしその精度については、平均8%程度のずれがあるとサイト自らが発表している。日本にもこれを真似たサイトがあるが、その精度には限界がある。アメリカの不動産業界は成約情報を一般の人に開示しており、日本のように不動産業者でないと見られないという仕組みにはなっていない。日本では売出価格は成約価格より約10%高いし、その価格のバラつきは±20%もあり、これを修正する必要があるのだ。
とはいえ、筆者は不動産業者でもあるので、成約情報を知ることができる。これを加工分析していくことで、精度よく物件の査定を行う仕組みができる。その査定は、スタイルアクトが運営する物件情報サイト「住まいサーフィン」というサイト内で「自宅査定」という名のサービスで提供している。
ただし、想定される取引価格を誰にでも見せることは、個人情報への配慮から行なっていない。原則として、ユーザーが自身の「自宅」についてのみ査定情報を知ることができる仕組みとなっている。このサービスのニーズは強く、すでに12万件以上使用され、マンションの号室単位で現在の取引価格を査定結果として見ることができる。
売り方や運・不運で多少誤差が出るものの、その平均値はズレがほぼ生じないようにしている。このように、現時点の取引価格は予測することができるのだ。しかし従来は、それが将来価格になると見当もつかなかった。
筆者は自宅を10年で住み替えることを提案している。処女作『マンションは10年で買い替えなさい』はベストセラーになった。そこでは、10年で住み替えた際に資産が増えていくように、「儲かる物件の7つの法則」をまとめている。実際のところ、都区部のマンション居住者は10年で3割以上が住み替えを行っている。そうした住み替えを前提にするのなら、たとえば10年後の物件価格をできるだけ正確に予測できることが望ましい。