サラリーマン川柳で振り返る、平成の日本経済と仕事のあれこれ今も30年前も変わらないことも、変わったことも(写真はイメージです) Photo:PIXTA

第一生命保険が毎年発表している「サラリーマン川柳」(以下「サラ川」)は1987年(昭和62年)に始まり、平成の歴史と重なる。入選した100句を紹介しながら平成という時代を振り返る。(ダイヤモンド・オンライン編集部 小野寺暁子、取材協力/第一生命、第一生命経済研究所)

【バブル景気】1980年代後半

一戸建 手が出る土地は 熊も出る(ヤドカリ、1990年第4回)

 日経平均が4万円に迫り、不動産価格が2桁の上昇率を記録するなど、空前の資産バブルが発生。一般庶民が都心に一戸建てを購入するのは「夢のまた夢」と言われたように、物価が全て上昇したイメージだったが、不動産や高級車、ブランド品、ゴルフ会員権など高級なモノが売れたというだけで、物価は比較的落ち着き、消費者の生活を取り巻く経済環境は安定していて、日本全体が楽観的なムードだった。

 土地の高騰などを嘆く句が多い一方で「オヤジギャル」「ブランド品は貰うもの」等、元気な女性を詠んだ句もみられた。

【バブル崩壊】1990年代前半

御取り引き バブルはじけて お引き取り(逆転パパ、1993年第7回)

 資産バブルが急速に崩壊し、日経平均は1989年末の最高値からわずか2年後の1992年に一時1万5000円を割り込んだ。実質GDP成長率は80年代後半の5%から90年代前半は2%に落ち込み、倒産件数も増加の一途。この頃から日本の政策金利(公定歩合)は段階的に引き下げられ、普通預金の金利も低下した。