「耐震補強工事」とは、具体的にいえば観光などを含む人的交流の強化に加え、ソフトの交流(例えば、国民皆保険に代表される日本の医療保険制度や税制、年金制度、義務教育制度、さらに省エネや環境保護など、多数の分野にわたるソフトパワーの交流)、そして「すべての紛争を平和的手段による解決する」という原則の貫徹だ。

 2002年に発売された『これは私が愛した日本なのか──新華僑30年の履歴書』という本が2015年に文庫化された際(タイトルは『この日本、愛すればこそ──新華僑40年の履歴書』)、その後書きに、私はそれから20年間の日中関係の展望を書いた。その内容の一部を紹介する。

「1998年頃からすでに『日中関係はこれから20年間にわたって、よくならない』と予告した私から見れば、落ち葉が地面を敷きつめてから秋が来たと叫ぶように遅すぎた発見だ。日中関係に携わっている人間としては、これから20年先の日中関係がどうなるのか、そしてどうなるべきだと思うのか、さらにどうしていけばいいのか、をより力点を置いて考えるべきだ」と。

 そして「互いに魅力を覚えられる、平和的に共存できる隣国同士。甘ったるい日中友好といった言葉がなくても全く問題のない健全な両国関係。それは私が描いた20年先の日中関係だ」と。

“日中関係20年間悪化説”に終止符
これからは“日中合作新時代”に

 “日中関係20年間悪化説”を主張し始めてから、今年でちょうど20年。今回の安倍首相の中国訪問は、奇しくもそれに終止符を打ってくれた形だ。そして、これからの20年間は“日中合作新時代”になると思う。

 これからの日中関係の特色の1つは、国益を重視しながらも、手を携えるところは積極的に協力し合うという付き合いになると思う。

 安倍首相の訪中直前、日本側は中国向け政府開発援助(ODA)の終了方針を決めた。さらに、その1ヵ月前の9月13日には、海上自衛隊の複数の潜水艦および搭載航空機5機が南シナ海で中国をけん制する目的で、対潜水艦戦関連の訓練を実施した。しかも訓練は、中国が南シナ海で自国の領有権を主張するために設定した境界線「九段線」の内側で行われたという事実を、防衛省当局者は隠そうともしなかった。

 一方、中国側も安倍首相の訪中が予定されていた10月にも、公船による尖閣諸島(釣魚島)海域のパトロールを続けている。釣魚島の接続水域への進入だけではなく、日本側から見た「領海侵入」も継続している。