Jリーグが狙う「アジアのプレミアリーグ化」の勝算写真はイメージです Photo:PIXTA

Jリーグは1993年に開幕し、今年で25周年を迎える。25年前は増加傾向にあった日本の人口も今では減少傾向にあり、2050年には1億人を下回ると言われている。人口の減少に伴い市場の縮小は避けて通れない現実であり、これまでほぼ100%国内のマーケットのみを対象に成長してきたJリーグも、強い危機感を持っている。株式会社Jリーグマーケティング海外事業部の小山恵氏が、自ら取り組むJリーグ世界市場へのチャレンジの最前線をお伝えする。

10年2100億円の巨大契約が意味するもの

 Jリーグは2017シーズンから10年間で約2100億円という大型の国内放映権契約を、英国Perform Groupと結んだ。この契約は日本のプロスポーツ史上で最大級の規模であり、この大きな契約金がJリーグに自由度の高い経営と将来への様々な投資を可能にしたことは非常に大きい。しかし逆に言えば、向こう約10年間の国内放映権収入は固まっており、大きく金額が増えることはない。今後のリーグのさらなる発展を考えたときに、海外で稼ぐというのは自然で必至の考え方である。

 世界に目をやれば、イングランドのプレミアリーグを筆頭にグローバルでの市場争いが激化している。衛星放送の拡大とインターネットの技術革新によって、強いコンテンツは自国内のみならず世界中でライブ視聴される。ゆえに欧州のビッグクラブは自国以外により多くのファンを抱えているのが現実だ。

プレミアリーグは年間600億円程度の放映権料をアジアで稼ぐ

 欧州の各リーグはアジアを注力市場とし、アジアの視聴者獲得、つまり放映権マネー獲得のために様々な活動を行っている。プレミアリーグは海外放映権だけで年間1500億円以上を稼ぎ出しているが、そのうちの4割近くがアジアからのマネーだと言われている。