四半世紀を迎えたJリーグの歴史で初めてとなる光景が生まれた。横浜F・マリノスへ電撃的に加入したFW久保建英が、17歳2ヵ月22日と史上2番目の年少ゴール記録を樹立した26日の明治安田生命J1リーグ第24節で、対戦相手のヴィッセル神戸が6人の外国籍選手を同時に起用したのだ。ベンチ入りできる外国籍選手の上限が3人と定められている中で、プレーする選手の過半数を外国籍選手が占める、前例のないケースはなぜ生まれたのか。Jリーグ内で議論されて久しい外国籍選手枠の撤廃を踏まえながら、FCバルセロナとスペイン代表で一時代を築いたビッグネーム、アンドレス・イニエスタが加入して注目を集めるヴィッセルの現状を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)
ヴィッセル神戸が外国籍の選手を
同時に6人起用できた「カラクリ」とは?
21世紀生まれの唯一のJリーガーが眩い輝きを放ったノエビアスタジアム神戸のピッチで、四半世紀を迎えたJリーグの歴史上で初めてとなる光景も生まれていた。
FC東京から横浜F・マリノスへ電撃的に期限付き移籍したばかりのFW久保建英が、出場7試合目にしてJ1初先発を果たした26日の明治安田生命J1リーグ第24節。スペインの名門、FCバルセロナもその才能に惚れ込んだ逸材は後半11分、鮮やかなJ1初ゴールを決めて先制した。
この瞬間、対峙していたヴィッセル神戸の選手たちのうち、実に6人が外国籍選手だった。プレーしている11人の過半数を外国籍選手が占めるチームは、もちろんこれまで前例がない。例えば対戦していたマリノスの外国籍選手は、久保がゴールを決めた時点では2人だった。
Jリーグが定める外国籍選手の登録数は、試合でベンチ入りできる上限は3人となっている。共通のルールがある中で、ヴィッセルが倍となる外国籍選手を起用できたのはなぜなのか。謎を解いていく前に、同時にプレーした6人の外国籍選手の顔ぶれをまずは見てみたい。
ヴィッセルはマリノス戦で5人の外国籍選手を先発させている。GKに韓国代表のキム・スンギュ、センターバックにカタール代表のアフメド・ヤセル、インサイドハーフに元スペイン代表の至宝アンドレス・イニエスタ、右ウイングにキャプテンで元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキ、そしてセンターフォワードにチーム得点王のブラジル人、ウェリントンが名前を連ねた。
そして、後半開始と同時に左サイドバックの橋本和に代わって、タイ代表のティーラトンが投入された瞬間に歴史が変わった。FW長沢駿との交代でウェリントンがベンチへ下がるまでの約25分間、スタジアム内に2つある電光掲示板上ではカタカナが漢字を上回っていた。