世界で著書累計100万部の猫を愛する専門家が、猫から日々教えられている生きる知恵を綴った『猫はあきらめ時を知っている』の日本語版が刊行された。
お気に入りの隠れ家を持ち、高価な物より段ボール箱を愛し、美味しくない食事は遠慮なく残し、どうやらこっそり人間をしつけているらしい……そんな猫が、常に周りの目を気にして生きる人間たちに、もっとラクに生きるコツを伝える一冊から一部抜粋して紹介しつつ、無類の愛猫家の翻訳者・吉田裕美氏が猫への思いを綴る。
猫にありがちな日常の仕草には、どんな偉人の名言にも勝る、深い人生哲学が込められている!(以下、執筆/吉田裕美)
他人の期待に応えようとしない
猫は、
周りから認めてもらおうとは思わないし、
それを必要ともしない。
人間に媚びへつらうことなく、
自由気ままに生きる姿は、愛おしい。
もちろん、誰もが猫好きではないし、
あなたも誰にでも好かれるわけではない。
それはお互いさま!
(セリア・ハドン著 平田光美訳『猫はあきらめ時を知っている』より)
わが家の猫の母猫は、ボランティアさんによって保護されて、不妊手術を受けた。
殺処分される不幸な猫を増やさないための取り組みである。
ところが、動物病院で告げられたのは、この猫は現在、授乳中だということだった。
つまり、近くに生まれたばかりの仔猫がいるはずなのだ。
そこで、一刻を争う仔猫探しが始まった。
母猫を見失った仔猫が、カラスや他のオス猫に襲われてしまったり、自分でエサが捕れずに餓死してしまったりしているかもしれない……なんて思うだけで、猫好きなら、いてもたってもいられなくなる……。