富士屋本店に長蛇の列
半世紀前に開店した大衆立呑酒場「富士屋本店」は、渋谷・桜丘町のビル地下にある元祖「せんべろ」的な店として、名を馳せてきた。夕暮れ時から、1品200~300円台のつまみをレモンサワーで流し込む常連客で連日にぎわっていたが、周辺地区の再開発にともない、10月30日で閉店となった。営業最終日前日には、ラストオーダーの時間が近づいても、列が途切れることなく続いていた。
周辺の飲食店も10月に入ってから営業を止める店が相次いだ。大盛りライスにカレールーが無料でかかる650円のとんかつ定食の「とんかつさくら亭」は、看板はそのまま炉端焼きの店に変わっていたが、29日に営業を終えた。和洋中なんでも揃う大衆食堂の鏡のような「お食事処かいどう」は一足早く20日に営業を止めている。
元クレイジーキャッツのメンバーがオーナーの魚がおいしい店として有名な「三漁洞」、1972年から続くジャズ喫茶「メアリージェーン」など、創業から40~50年もの間、愛されてきた名店がその歴史をいったん閉じていく。