70歳未満の人は、通常なら医療機関の窓口ではかかった医療費の3割を負担しなければいけないが、この認定証を提示すると、窓口での支払いが限度額まででよくなり、家計からの持ち出しを少なくできる(本コラム第171回『高額な医療費の窓口負担を軽減「限度額適用認定証」を知っておこう』参照)。

 年収600万円のAさんの高額療養費の限度額は、【8万100円+(医療費-26万7000円)×1%】。抗がん剤治療が始まり、すでに半年が経過しているため、多数回該当が適用されて、今は1ヵ月に4万4400円まで支払えばよくなっている。とはいえ、毎月、抗がん剤治療をすると、1年間の自己負担額は50万円を超える。

 健康保険がなかったら使えない高額な薬を使えるのはありたがいものの、病気にならなければ必要なかったお金だ。

 子どもの教育費や住宅ローンもまだまだ残っているため、いつ終わるとも分からない抗がん剤治療の費用は負担を思うと、家計への負担は少しでも抑えたい。そこで、Aさんは、医療費をクレジットカードで支払って、ポイントを貯めているのだ。

「病院でカードが使えるの?」と思うかもしれないが、国立病院機構、大学病院では、早くからカード決済が導入されており、徐々に公立病院や民間病院、一部の診療所にも広がってきた。保険調剤薬局でも、クレジットカードを利用できるところは多く、こうした医療機関や薬局を利用すれば、医療費の支払いでカードのポイントを貯めることは可能になっている。

 Aさんが治療を続けた場合、1年間に支払う自己負担分や約53万円。還元率1%のカードを使用しているAさんは、医療費の支払い分で年間5000円程度のキャッシュバックを受けられる計算になる。

あえて限度額適用認定証を使わず
高額ポイントを貯めるツワモノも

 上級者になると、カードのポイントをたくさん貯めるために、あえて限度額適用認定証を使わない人もいる。

 心筋梗塞で倒れ、大学病院に救急搬送されたBさん(60歳・会社員)は、心臓のカテーテル治療を受けて一命をとりとめた。検査の結果、ほかにも狭窄している血管がみつかり、継続的な治療が必要と診断されたが、当面の治療を終えて、いったん退院することになった。