すると、人間とは弱いもので、断れば断ったで、「あいつらどんな話をしているのだろうか」などと気になるのです。一種の中毒症状かな、と思ったものです。

 それほどまでに昔を懐かしむ会は居心地がいいのです。

 ここではたと考えました。確かに昔を懐かしむ会は楽しいし居心地いいし、断る理由はないかもしれない。しかし、そこから新しいことが何も生まれそうにない状況に耽溺しているのはいかがなものか、と。

 何もそこまで大げさに考えなくてもいいのではないかと思われるかもしれませんが、あまりに居心地がいいだけに逆に心配になったりするわけです。

 そこで考え、1つの対策を練りました。

「最近、どう?」と聞く「どうよ会」化を推進しようと思ったのです。

飲み会にも前向きな
行動規範を作ってしまう

 要するに昔話に耽溺するのではなく、「これからこうしたいね」「やりたいね」という未来志向の話をしたいと思ったわけです。

 リクルートには会社の文化を体現する、たくさんの口グセがあります。本にもなっています。その中に「最近どう?」というものがあります。

 よくある不健康自慢や老後不安の話ではありません。最近どんなことにトライしているのか、この1年間で何か新しく始めたことはないかという質問です。リクルート出身者の間ではそんな暗黙のルールがある開口一番の言葉なのです。

 もちろん、リクルート出身者以外の方には「最近どう?」だけで真意は伝わらないですから、最初はゲームのルールのように簡単な説明をするようにしました。

 そうすると、結構出てくるのです。もちろん、新たなキャリアの話とは限りません。趣味の話が一番出ます。私で言えば、前々回「定年までに『趣味』に真剣に取り組み始めたほうがいい理由」でお話をしたアウトドアに最近また挑戦しているという話です。もちろん、いきなりの質問ですから、最初は必死にひねり出すということもあるのですが、こちらが上手く質問をしていけば、興味深いきっかけや経緯が聞けるものです。

 いい問いかけにはいい答えが返ってくるものなのです。

 考えてみれば、皆さん、これは部下育成のために今まで腕を振るってきたテクニックだと思います。「それでお前は何をやりたいわけ?」というわけです。

 そんな前向きになれる行動規範を作ってしまいます。

 集団にはそれぞれ集団凝集性というものがあります。これが高い集団は仲が良くて、密接なつながりを持っているということです。ただし、その凝集性の高さがその集団のパフォーマンスを高めるかどうかはわかりません。

 パフォーマンスを高めようと望まない集団であれば、凝集性が皆の成長欲求や前向きな気持ちをむしろ奪ってしまうわけです。